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執筆者の写真高森明勅

湯澤貞先生を悼む

更新日:2020年12月19日


湯澤貞先生を悼む

湯澤貞先生を悼む

7月22日、靖国神社宮司であられた湯澤貞(ただし)先生が亡くなられた。

89歳でいらっしゃったという。

これまでご交誼を賜った靖国神社の歴代の宮司の中でも、私にとっては最も印象に深い方だ。人柄が穏やかで謙虚。勉強熱心で内面にすっきり筋の通ったものをお持ちだった。謹んで哀悼の意を表します。


先生の句集(『散る櫻』『浄闇』)から、いくつかの俳句を掲げさせて戴き、故人を偲ぶよすがとしたい(先生の俳号は碧水〔へきすい〕)。

散る桜 残るさくらも との辞世(じせい)

英霊の 声聞こゆがに 花の宮

初(はつ)参賀 小旗(こばた)が渡る 二重橋

階(きざはし)を 登る勅使(ちょくし)に 風薫る

逆(さか)さ富士 田植(たうえ)済みたる 長閑(のど)けさに

益荒男(ますらを)の 墓碑銘かなし 山桜

秋天(しゅうてん)を 睨(にら)み銃器(じゅうき)の 朽ち果てぬ

杖を曳(ひ)き 花の社頭(しゃとう)の 遺書仰ぐ

目瞑(つむ)れば 故郷(こきょう)の山河(さんが) 蝉の声

亡(な)き妻の しきりに恋し 風邪心地(かぜごこち)

老兵の 涙手向(たむ)けて 花の宮

御遷宮(ごせんぐう) 浄闇(じょうあん)に神 蘇(よみがえ)る

清貧(せいひん)に 生きしを誇り 花すみれ

春風(しゅんぷう)に 剣璽(けんじ)奉じて 行幸(みゆき)かな

故郷(ふるさと)は 雪かと遺書に 兵綴(つづ)る

老いてなほ 名こそ惜しめと 時鳥(ほととぎす)

鳳仙花(ほうせんか) 友は戦(いくさ)に 征(い)きしまま

朴(ほお)咲くや 衛士(えじ)交替の 挙手の礼

湯澤先生、ご生涯渾身(こんしん)のご尽力、有難うございました。

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