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執筆者の写真高森明勅

「改憲する必要はなくなった」?

更新日:2020年12月29日


田原総一朗

「改憲する必要はなくなった」?

8月ゴー宣道場は4日。目前に迫った。今回のゲストはジャーナリストの田原総一朗氏。

最近の田原氏の発言を紹介しておく(「サンデー毎日」8月11日号)。


「今回の選挙の一番の問題は低投票率だ。なぜか。国民からすれば一番関心のある争点から自民党も野党も逃げた。典型は安倍さんだ。国民世論は憲法改正なんてほとんど関心ない」


「(憲法改正については)連立相手の公明党にも全くその気がない。公明党の山口那津男代表に聞いたら『憲法に自衛隊、あえて書く意味があるのか』と言っていた。安倍氏の…案に対する明確な反対意見だ。2015年(平成27年)の新安保法制で、集団的自衛権の行使を一部容認、すでに解釈改憲している、これ以上何が必要か、という本音だ。

支持母体の創価学会も同様だ。この春、学会の原田稔会長や複数の副会長に聞いたが、彼らも絶対反対だ。特に婦人部が強硬だ。山口代表といえども妥協したらそのポストも危うくなる」


平成28年の参院選で自民党が勝利し、衆参両院で3分の2を超えた時に、田原氏が安倍首相に「いよいよ憲法だね」と質した。すると当時、安倍首相は以下のように答えたという。


「実は田原さん、大きな声では言えないが、改憲する必要がなくなった。集団的自衛権の行使を認めるまでは、アーミテージ(元米国務副長官)、ナイ(元米国防次官補)らからこのままでは日米関係が悪化すると言われたが、安保法制以降何も言わなくなった。つまり、改憲の必要はなくなりました」と。


ところが近来、再び“改憲”の旗を掲げるようになった。何故か。


「側近の加藤勝信総務会長や岸田文雄政調会長にも聞いたが、誰も答えられなかった」

「日本会議とその支持者を意識している」

「(政権への求心力を維持する為の旗が)何もない。一番大きいのが北方領土返還、平和条約締結だったが、それがダメになった。もちろん拉致問題もうまくいかない。改憲以外に旗がない」

「日本は一体どういう国になるのか。対米従属的な外交・安保政策からいかに主体性を回復していくのか。トランプ米大統領が日米安保を不平等だと露骨に言い始めた。一方で、日本からも不平等の改善、日米地位協定改定を望む声が大きくなった。時代が日米安保体制の再点検を求めているのに、安倍自民党も野党も手を出さない。出せない」

「米国の核の傘からどう抜け出すのか。自前の核を持たないのであれば、この核時代にどう自国の安全を担保するのか。そこまで考え抜く必要がある。実はこの選挙でも7党に聞いた。

『日本は二度も原爆を受けていながら、米の核の傘に守ってもらっていることから核兵器禁止条約には反対した。それでいいのか。日本の主体性はどこに置くのか』と。どの党にも回答がなかった。判断停止状態だ」


当日はどんな討議になるだろうか。

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