平成から令和への御代替わりに際し、私が注目していた一つに、2月11日の「三殿御拝」があった。
被占領下にあった昭和23年、占領当局の意向を汲んだ祝日法によって、2月11日は一旦、平日とされてしまった(それまでは「紀元節」という祝日)。これに伴い、皇室祭祀の中の「紀元節祭」が停止されることになった。
しかし昭和天皇は毅然として、同日に、ご自身強いの思(おぼ)し召しによつて「臨時御拝」を行われ、以後も毎年、この日に宮中三殿で丁重なご拝礼を続けられた。御代が平成に移ってからも、上皇陛下は「三殿御拝」として、それを揺るぎなく継承された。
この度、令和になって初めての2月11日を迎えた。天皇陛下には、厳かに三殿御拝を執り行われた。他の恒例祭祀とはいささか異なる経緯があるだけに、上皇陛下のお気持ちを受け継ごうとされるご姿勢が一層、際立つ。ただ有難い。