「週刊新潮」(4月30日号)に「ついに動き出した『旧皇族男子』復帰の隠密シナリオ」という記事。
タイトルから間違っている。
「旧皇族男子」が今、どれだけご高齢か分かっているのか? 皇統問題に関わっては当面、昭和22年まで皇族だった方々だけが、旧皇族(一般的には黒田清子様なども)。天皇陛下より“年上”の旧皇族に「復帰」して貰って、皇位の安定継承に繋がるはずがない。
だから議論の対象になっているのは、旧宮家系でかつて一度も皇族だったことがない(つまり“旧”皇族ではない!)、国民男性の新たな皇籍「取得」だ。これについて、安倍首相は以前、次のように述べていた。
「三笠宮家や高円宮家に、旧宮家から男系男子の養子を受け入れ、宮家を継承していく方法もある。現行の皇室典範では、皇族は養子をとることができないことになっているが、その条文だけを特別措置によって停止させればよい」(「文藝春秋」平成24年2月号)と。
勿論、養子を禁じた皇室典範9条文だけを「停止させればよい」という単純な話ではない。
だが、それ以前に、他人の人生をまさに“将棋の駒”のように扱うもの言いは、権力を持つ政治家の発言(当時は首相ではなかったが)だけに一層、違和感が強い。
特に、三笠宮家や高円宮家を“名指し”しているのは、各宮家に対して非礼に当たると考えないのか。ところで、当該記事は例によって羊頭狗肉。目新しい情報は殆ど無い。強いて挙げれば次のような記述だけだろうか。
「亡くなった東久邇信彦氏の弟で、孫が二人いる眞彦氏に尋ねると、『(政府からは)全然、連絡も何もありません。(皇籍復帰の打診については)申し上げることはありません』
それでも、八木(秀次)教授はこう明かすのだ。
『旧宮家のご当主の方とお話しすると「やはり男系でなくては」といった考えを漏らす人がいます。また、実際に4人ほど、必要があれば皇籍復帰する意思や覚悟のある男性がいるとも聞いています。彼らはもちろん自ら声を上げることはしませんが、そうした流れになればおのずと引き受ける、そんな心づもりでいるのだと思います』」
ーー最も肝心な点が「いるとも聞いています」では、何とも心もと無い。