緊急事態の対処は憲法で
6月14日のゴー宣道場。
3ヵ月ぶりの開催だった。
ゲストは弁護士でフランス法に詳しい金塚彩乃氏。
専門的な知識を平易かつ興味深く語って戴いた。
しかも、しなやかなでバランス感覚に富んだ思考態度に学ぶところが多かった。
エリートぶらない、気さくで明るいお人柄も、好感が持てた。
新型コロナへの対応の為、参加者を制限しての開催だったが、内容としては間違いなく成功だろう。
金塚弁護士には、お忙しい中を我々の道場にご参加下さり、深く感謝。
同氏を紹介してくれた倉持麟太郎弁護士にも感謝する。
金塚氏は山尾志桜里衆院議員と司法研修所の同期で、山尾議員が検事時代に法廷で弁護士として対決されたこともあるらしい。
同氏の基調講演では「忘恩の義務」(ロベール・バダンテール)という言葉が最も印象に残った。
実に神聖な義務と言うべきだろう。
なお討議の中で、緊急事態に対処する為の法的な整備について、憲法に緊急事態条項を入れるか、それとも憲法より“下位”の法律でカバーするか、専門家でも意見が分かれているという話題が出ていた。
しかし、私のような素人が考えると、憲法に規定された権利や自由も、緊急事態には一定の制約を余儀なくされる以上、その根拠となる条文(どのような条件のもとに、いかなる手続きで、どの程度、制約されるのか等)が憲法それ自体に無ければ、ツジツマが合わないように思える。
国民投票を必要とせず、国会多数派の思惑(おもわく)“だけ”によって成立可能な法律で、憲法が国民に保障しているはずの権利や自由が、勝手に否定される結果になりかねないからだ。
端的に言って、下位の法律が上位の憲法を制約するのは奇妙この上ない。