台湾での新型コロナウイルス対策成功の実態を紹介された藤重太氏は、その事実が国際政治力学の面でも重要な意味を持ったことを、指摘されている。
傾聴すべき発言だ。
「感染の発生源であった中国は、いつの間にか感染を克服したと吹聴し、世界を救うヒーロー、世界の新しいリーダーになろうと躍起になっている。これに対して『国家ですらない台湾』の活躍は、自由主義世界の最後の砦(とりで)になっていたと言える。
『世界保険機構(WHO)や国連にも加盟できない台湾』『中国から敵視されている台湾』が民主主義陣営の一員として、法治国家として、この感染症の国家混乱の危機を乗り越えたのである。武漢から発生した新型コロナウイルスは、実はアメリカをはじめ民主主義連盟と共産中国の戦いだったのかもしれない」
「仮に台湾が感染拡大で収拾困難な状態になっていたら、それこそ『緊急事態には、共産国家でないと国民を守れない。共産主義は正義だ』などとプロパガンダに利用されたに違いない。実際、ベトナム、ラオス、キューバなど国家として強権が発動できる共産主義国が感染を抑えている。
英米をはじめとする自由経済を掲げる民主主義国家が軒並み新型コロナウイルスの犠牲になり…中国がいつの間にか、感染の鎮圧や世界への貢献を標榜し世界のヒーローの座に就こうとしていたのだ。…その中国の野望に一矢を報いた台湾こそ民主主義陣営の希望の星なのだといっても、言いすぎではあるまい」(『国会議員に読ませたい台湾のコロナ戦』)
これは、ややもすれば見逃されかねないが、大切な視点ではあるまいか。