前に述べたように、9月に予定されていた「皇居勤労奉仕」は、宮内庁の判断で見送りになった。
これは至極当然の判断だろう。もちろん、喜んでその判断に従う。しかし、私が講師を務める事前勉強会は、当初の予定通り行った。わざわざ大阪から上京してまで、勉強会に参加してくれた熱心な若者もいた。彼は会社の仕事を調整し、奉仕期間の4日間、東京に滞在して奉仕に当たるつもりだったそうだ。
地方からの奉仕団は、皆さんそのようにされているとはいえ、費用も嵩(かさ)むだろうに、頭が下がる。ところで、私の発案で、勉強会だけでなく清掃奉仕も、宮内庁が正式に受け入れるのとは違う形で、誰にも迷惑が掛からないよう入念に配慮しつつ、粛々と独自に行おう、ということになった。
皇居勤労奉仕の“先駆け”となった宮城県栗原郡(今は栗原市)の「みくに奉仕団」の人々も、初めは皇居内に入れるとは考えていなかった。皇居「外苑」の草刈り奉仕をやらせて貰えれば有難い、という気持ちだった。
我々も、皇居や赤坂御用地の中に入らなければご奉仕が出来ない訳ではない。ましてや、陛下からご会釈を賜るのを“当て”にするなど、畏れ多い極みだ。誰にも気付かれなくても、結果的に何らかの形で、ほんの僅かでもお役に立てれば、それで満足。という提案に異存のある人はいなかった。
このやり方なら、実施する曜日も時間帯も参加人数も、かなり自由に設定できる。具体的な日程や実施方法もほぼ固まった。今から当日が楽しみだ。