国内最大の保守系組織「日本会議」。その機関誌が『日本の息吹』だ。同誌9月号が8月31日に届いた。
そのトップ記事は「安倍総理、任期中に憲法改正を 堅い決意を改めて表明」というもの。
安倍首相の顔写真がカラーで掲げてある。去る6月18日の記者会見での安倍首相の発言を取り上げている。
「私も自民党総裁として、総裁任期の間に、憲法改正を成し遂げていきたい。その決意と思いに、いまだ変わりはありません」と。同記事は以下のように締め括っている。
「安倍総理の自民党総裁としての任期はあとわずか。任期中に憲法改正を成し遂げるとの安倍総理の堅い決意に思いを馳せると共に、来るべき衆院総選挙は、憲法改正を占う一大決戦となることを、改めて胆に銘じたい」
今となっては何とも虚しい。しかし、「来るべき衆院総選挙」の重大さは、ここでの指摘の通りだろう。「分断と不信」を拡大したとも言える安倍首相の辞任によって、むしろ憲法改正を巡る環境は改善されるのではないか。玉木雄一郎・山尾志桜里両衆院議員らの新党は、改憲論議から逃げ出すようなことは決してあるまい。
問題は、次の首相に改憲のリーダーシップを取る意欲があるか、どうかだ。勿論、改憲以上に優先すべきは、皇位の安定継承を目指す皇室典範の改正だ。これについて、国民多数の合意は既に出来ていると言える。妥当かつ実現可能な選択肢も、事実上ほぼ絞られる。
次の政権では、少なくとも皇室典範の改正は、可及的速やかに成し遂げて欲しい。
なお、同誌には「なぜ皇位は男系で継承されなければならないかQ&A」という、6ページの記事が掲載されている。
「皇室の伝統を守る国民の会」(三好達会長)のリーフレットを転載したもの。大切なテーマなので、力を注いだ文章だろう。しかし驚いたことに、キーワードとして欠かせない「側室制度」「非嫡出(庶出)による継承」という言葉が全く出てこない。これでは説得力のある議論は組み立てられない。又、明らかに事実とは異なる記述があるのも残念だ。