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執筆者の写真高森明勅

国民民主党憲法調査会ほか

更新日:2021年1月23日

国民民主党憲法調査会ほか

10月9日、(新)国民民主党の第1回・憲法調査会(会長は山尾志桜里衆院議員)。


党内だけでなく、外部の国民一般も参加できる開催形式で、オンライン中継もあり、というフルオープンな画期的試み。私も参加させて貰った。玉木雄一郎代表には先日、ゴー宣道場にゲストとしてご参加戴いたお礼を申し上げる。


山尾議員にも勿論(もちろん)、ご挨拶した。一般の市民や衆院法制局、メディア関係者などが多数、参加していた。


テーマは「AIと憲法」。

慶應義塾大学法学部の山本龍彦教授(憲法学)が基調講演をされた。DX(デジタルトランスフォーメーション)は国家統治の根幹(個人の自由やデモクラシー)に関わる可能性があり、まさに「憲法事項」ではないか、との斬新な問題提起だった。


私は門外漢ながら、敢えて「憲法それ自体の改正ではなく、新しい立法だけで対応できるという考え方は取らないのか?」と質問した。これに対し、およそ以下のような回答を得た。


「これまでの個人情報保護法制などを見ても過剰と過少が混在するなど、法体系として整合性を欠き、でこぼこ。何故そうなるかは、トータルにどうあるべきかという原理が不在だったから。その原理を確立させる為には法律ではなく、憲法で対応すべきだ」(高森超訳?)と。


明快で説得力がある。これまでの「護憲VS改憲」の対立図式が、いかにも古色蒼然(こしょくそうぜん)としたものに感じられた。この調査会はこれから毎週、開かれるとか。国民民主党の「憲法改正」への意欲は、目を見張るものがある(立憲民主党とは天地雲泥の差!)。


会場には、東京でのゴー宣道場の開催に当たり、設営等の手助けをして下さっている女性も、来られていた。最後まで参加していたかったのだが、先約の為、やむなく中座。そのまま国家基本問題研究所に移る。


同研究所の櫻井よしこ理事長らと昼食を摂(と)りながら打ち合わせ。櫻井氏から「上皇陛下がご存命中に、皇位の安定継承を巡る議論を進めるのは非礼である、という話を聴いたのですが、そうなんですか?」とのご質問。全く正反対なのでビックリ。


「それは逆です。上皇陛下の最大のご懸念は、将来の皇位継承の道筋が見えないまま、時間だけが過ぎていることです。これほど申し訳ないことはありません。ですから、なるべく速やかに政府・国会できちんとした結論を出して、天皇陛下はもとより、上皇陛下にご安心を戴かなければなりません」とお答えした。


「安倍政権でこの問題が全く前に進まなかったのは何故でしょうか?」との質問をはじめ、安倍前政権に対して、様々な不満を抱(いだ)いておられるように見えたのは、少し意外だった。


上記の質問については、その「一強」ぶりと、憲政史上、首相として最も在職期間が長く、かつ、上皇陛下のご譲位を巡り、この問題についても真正面から検討する機会を与えられたにも拘らず、「旧宮家」案に全く手を着けなかった事実から考えると、安倍晋三前首相自身が、同案を本気で取り上げる気が“無かった”から、としか説明できないだろう。


打ち合わせの後、別の要件で場所を移動した。


10日、しがく総合研究所で、女性議員飛躍の会編『皇位継承 論点整理と提言』(2刷り!)所収の拙稿(講義録)をテキストに、小さな勉強会。それが終わって、高森稽古照今塾の講義。前回の講義に関わって、憲法を改正して「天皇は元首である」旨の規定を追加すべきかどうか、という質問があった。


そこで、現在、主要国の憲法には殆ど元首の規定が無い(あるのは韓国とイタリアの憲法くらい)という説明に加えて、帝国憲法の第1条(元首の規定なし)と第4条(元首の規定あり)の解釈について、少し掘り下げて解説した(私見では、第1条は「歴史を貫く国家構造」=国体、第4条は「近代立憲君主制の基本」=政体についての規定)。


私の目下の見解は、わざわざ元首規定を追加する必要は無い、というもの。この日は、憲法上の“国事行為”と、憲法には明記されていない“象徴としての公的行為”につき、天皇の歴史的な「3つのお立場」と関連付けて、他国の立憲君主の権能も視野に入れながら、簡単に整理した。


塾終了後、受講者のうちのごく少数と懇親会(その人選に私はタッチしない)。私は元来、大勢とお酒を飲むのが好きではない(お酒自体は無論、嫌いではない)。


受講者の世話係りが、予(あらかじ)め清酒の美味しい店に予約を入れてくれていた。

今回も女性の参加者が多く、しかも皆、なかなかお酒が強い。講義では話せない話題なども飛び出して、楽しい一時(ひととき)を過ごした。


11日、九州でのゴー宣道場には参加できず、残念。今回のゲストの九州大学教授・施光恒(せ・てるひさ)氏については、ご著書の『英語化は愚民化』(集英社新書)を拝読して以来、いずれお話しをさせて戴く機会を得たいと願っていたのだが。でも大成功だったようで何より。


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