母の夢
- 高森明勅
- 2020年10月19日
- 読了時間: 1分
更新日:2021年1月23日

亡き母の「50日祭」の夜。母の夢を見た。久しぶりのこと。
私が玄関を入り、広い廊下を通って、角で曲がる。洗面所とトイレの前を通り抜けて奥の居間に入る。すると、入ってすぐ近くに、母が立っていた。どこかに出掛ける時の少しおめかしした服装。顔はふくよかで、ニッコリと明るく笑っている。しかし残念ながら、私が何か話しかけようとしたところ迄しか、覚えていない。
肝心な会話の場面が記憶からすっかり抜け落ちている。たったそれだけのことが、とてつもなく大きな喪失感を抱かせる。
彼岸花(ひがんばな)
咲ける間(あわい)の
道をゆく
行(ゆ)き極(きわ)まれば
母に会ふらし
(上皇后陛下、平成8年)