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執筆者の写真高森明勅

野党指導者の改憲論

更新日:2021年1月23日

野党指導者の改憲論

野党の指導者にも堂々と憲法改正を唱える人物がいる。今なら国民民主党の玉木雄一郎衆院議員などがその1人だろう。以下にある野党政治家の改憲論を紹介しよう。


「憲法上の位置づけという意味で、自衛権等についての規定がまったく存在せず、すべてが解釈に委ねられている現行9条は、確かに問題があります」


「憲法によって、軍事的公権力行使に歯止めをかけようとするならば、その要件や限界を、解釈の幅が少しでも小さくなるように明文化するほかありません」


「集団的自衛権の行使についてはどう規定すべきか。…個別的か集団的かという二元論で語ること自体、おかしな話です。そんな議論を行っているのは、日本の政治家や学者くらいでしょう。それもこれも、解釈に頼って歯止めをかけてきてたからです。そうではなく、条文上で明記することで、より緻密で具体的な線引きが可能になります」


「(具体的な条文案、9条の2、2項―引用者)国際法規に基づき我が国の安全を守るために行動している他国の部隊に対して、急迫不正の武力攻撃がなされ、これを排除するために他の適当な手段がなく、かつ、我が国の平和と独立並びに国民の安全に影響を及ぼすおそれがある場合においては、必要最小限の範囲で、当該国と共同して、自衛権を行使することができる」


「内閣法制局解釈という大変脆弱(ぜいじゃく)な『歯止め』に依存するのに比べて、我が国の平和主義を実質的に守る上では、(改憲によって条文上の歯止めをかける方が―引用者)より効果的である…護憲派もその点は認めざるを得ないのではないでしょうか」


いかがだろうか。それなりに説得力を備えた主張ではないか。一先ず、耳を傾けるだけの値打ちはあるだろう。いわゆる「立憲的」改憲の“先駆け”とも評価できる。


この改憲論の執筆者は他でもない、当時は民主党で憲法調査会の会長なども務められた、 (新)立憲民主党代表の枝野幸男衆院議員だ(「文藝春秋」平成25年10月号所載「憲法9条 私ならこう変える」)。


枝野氏は、この論文を既に取り消されたそうだが、近頃の立憲民主党は(立憲主義の本旨から離れて)旧社会党のような「護憲」政党に後退しているように見えてしまう。同氏は今後、どこに向かわれるのか。

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