立皇嗣の礼が終わった。
これに関わって、メディアからは東京新聞(11月11日付)と週刊新潮(11月12日号)にコメントを求められた。週刊新潮の記事の前半はYahoo!ニュースに取り上げられた。なので、そちらで私のコメントを読んでくれた人もいるだろう。
東京新聞には、百地章氏(日本大学名誉教授)、小田部雄次氏(静岡福祉大学名誉教授)、所功氏(京都産業大学名誉教授)らのコメントも掲載された。至って妥当な人選だろう(私はともかく)。
お3方のコメントの、冒頭部分だけを引用させて戴くと、以下の通り。
「立皇嗣の礼で秋篠宮殿下が次期天皇の地位にあることが周知され、将来の悠仁親王までは原理原則である『男系男子』の皇位継承が安泰であると国民は受け止めた。皇位継承の安定化策の論点は、悠仁親王の次の継承をどうするかだ」(百地氏)
「現在の皇統にある方々のご子孫が皇位を継承することが、もっとも望ましい安定的な皇位継承策であると考える。その場合、男子に限定すると、継承者がいなくなる危険性があるので、近い将来、女性皇族が結婚して皇籍を離脱してしまう前に女子の継承権を認めておくべきだ」(小田部氏)、
「皇室においても少子高齢化が深刻になっている。しかし、現行憲法下では、象徴天皇として国事行為を担当できる天皇が健在し、また国民統合の公的行為に励む天皇の公務を分担できる数人以上の男女皇族が実在しなければならない」(所氏)
私自身のコメントは次のような内容だった。
「立皇嗣の礼は、秋篠宮殿下が今の時点で皇位継承順位が1位の皇嗣という立場であることを、改めて内外に示す意味を持つ。しかし皇嗣は、皇太子や皇太孫と異なり、必ずしも次の天皇になることが確定していない。秋篠宮殿下の場合、天皇陛下より5歳お若いだけなので、将来、陛下がご高齢を理由に退位された後、実際に即位されるとは考えにくい。
皇位の安定継承を目指して検討する際、秋篠宮殿下の即位を既定の事実のように捉えるのではなく、過去の男系継承を可能にしてきた非嫡出による継承の可能性が無くなった現実を踏まえ、ゼロベースで最善の解答を探るべきだ。一部で唱えられる旧宮家系男性の皇籍取得案は、旧宮家も非嫡出の継承に支えられてきた歴史を考えれば、安定継承につながらない。他の難題も多く、政府も選択肢に入れていないようだ」