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執筆者の写真高森明勅

皇子、皇女、皇孫

更新日:2021年1月24日


 皇子、皇女、皇孫

内閣が検討していると報じられた「皇女」制度案。そのネーミングの“恥ずかしさ”が半端でない。無知の程度が激しい。


皇女とは改めて言うまでもなく、天皇のご息女に当たる方に“限って”遣(つか)われる言葉。女性皇族の中でも、血縁が天皇に最も近く、それだけ尊貴なお立場だ。なのに、それを皇族の身分を離れた女性に、尊称として一律に遣うつもりだという。身分の“詐称”と非難されても、反論の余地があるまい。


更に皇女は、「皇子」という語が①もっぱら天皇のご子息(男子)に当たる方だけを指す用法と、②ご子息とご息女(女子)の両方を含む(つまり男女に関わりなくお子様を指す)場合がある中で、①の用法の際に、それと“区別”してご息女を意味する言葉として遣われる。

ところが、皇室典範での用法は②だ(6条)。


そうすると、皇子(②の用法)と皇女(①の用法)が混在して、捻(ねじ)れた遣われ方をすることになる。混乱は避けられないだろう。その上、典範では世代を区別して、皇子の次の世代を「皇孫」と呼んでいる(同条)。


ところが、「皇女」プランでは、世代に関係なく、全て「皇女」で押し通すらしい。

もう無茶苦茶。皇室を巡る制度なのに、信じ難いことに、皇室典範との整合性がまるで考えられていない。驚くべき杜撰(ずさん)さだ。このプランを捻(ひね)り出した官邸官僚は、ちゃんと皇室典範を読んでいるのか。


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