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執筆者の写真高森明勅

今年の最大の出来事

更新日:2021年1月24日


 今年の最大の出来事

私にとって、公的な方面での今年最大の出来事は、政府が目論んでいた「皇女」制度案を一先ず押し戻せたことだ。これはタイミングが幸いした面も大きい。しかし、きちんとしたロジックを提出すれば、現実の政治を動かすことが出来る。


ご譲位を可能にする法整備の時に感じたことを、この度も確認できた気がする(どちらの場合も、外側からは見えにくいが、実は山尾志桜里衆院議員の存在が極めて大きな意味を持った)。政府は国会を舐(な)めていたのではないか。


国民も甘く見ていた。立皇嗣の礼が終わって、特例法の附帯決議に応えて、皇位の安定継承に向けた検討を、いよいよ本格的に開始しなければならない局面を迎え、「皇女」案で事実上、“先延ばし”しようと企てていたのが、いきなり惨めに躓(つまず)いた。来年の“本番”を控えて、幸先(さいさき)の良いスタートだ。


しかし、勿論(もちろん)、油断は禁物。令和3年は、恐らくわが生涯で最も重大な1年になるだろう。私的な領域での出来事としては、3月に初孫(わが長男の長女)が生まれたこと。8月に母が亡くなったこと。これらが最も大きな出来事だった。母は以前から、ひい孫が生まれるのを、本当に楽しみにしていた。その母の存命中に、健やかにひい孫が生まれた報告が出来たことは、有り難かった。


しかし、新型コロナウイルス感染症のせいで、初めてのひい孫を母に直接、会わせる機会を永遠に失った。これは痛恨の極み。

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