令和最初の皇居勤労奉仕
9月2日から4日間、「令和」初の皇居勤労奉仕。幸い雨に祟られる事も無かった。
初日は赤坂御用地でご奉仕。いきなり天皇陛下のご会釈を賜る事になった。陛下が室内にお入りになると空気が一変。それまでのピリピリした緊張感が逆に和らぐ。温かく穏やかな空気が流れる。わが奉仕団のすぐ前にお立ちになって、ご下問と労(ねぎら)いのお言葉を賜っている間は、殆ど頭を上げられなかった。
陛下が全奉仕団を巡られた後、各奉仕団の団長が陛下の御前に集まり、1人の団長の先導で「天皇陛下、皇后陛下」万歳三唱。この時、陛下は万歳三唱の先導をしていた団長に、無限にお優しい慈しみの眼差しをじっと注いでおられた。それは勿論、全ての奉仕者へのお気持ちを、そうした最も自然な形で表されたものだった。
4日間のご奉仕の間中、この時のお優しい眼差しでご覧戴いているような気持ちが、去らなかった。私の近くにいた、大阪からわざわざ奉仕の為に上京していた、20歳代半ばで普段は少しガラッパチ気味(失礼!)の女性が、深く感銘した様子だったのも印象に残った。
2日目からは皇居でのご奉仕。「東」地区、「宮殿」地区、「西」地区をそれぞれ3日間に分けてご奉仕した。一般に公開されている東御苑(ひがしぎょえん)の草取りをしている時に、上品そうなご婦人から声を掛けられた。皇居の地元とも言える大手町にある会社に勤めていて、来年には退職なので、自分も勤労奉仕をしてみたいが、どのような手続きで奉仕が出来るのか、というお尋ね。思わず嬉しくなって、やや詳しく説明した。
又、宮内庁の職員の方のご案内で、同御苑で造営中の大嘗宮を少し離れた場所から拝観させて戴いた。もうかなり出来上がりつつあった。宮殿の正殿(せいでん)前の中庭(ちゅうてい)では、「即位の礼」に向けた整備が進んでいた。図らずも、この時期ならではの、いつもとは異なる皇居奥の佇(たたず)まいを拝見する機会に恵まれた。
最終日は「聖域中の聖域」とも言うべき場所でのご奉仕だった。午前中は、「宮中三殿(きゅうちゅうさんでん)」に門外からお参りさせて戴いた上で、陛下が三殿にお出ましの際にお使いになる「北門」付近の草取り。午後は現在、上皇・上皇后両陛下がお住まいの「吹上仙洞御所(ふきあげせんとうごしょ、平成時代は“御所”)」の壁際(かべぎわ)外側の草 取り。この2ヵ所は皇居の中でも最も神聖な場所。大変、貴重な体験をさせて戴いた。光栄の至り。
奉仕後、神保町の銭湯で汗を流し、奉仕団のみんなと居酒屋で打ち上げ。妻に「奉仕が終わって、これから打ち上げ」とメールしたら、直ちに「(最後まで)気を抜かないこと!」との返信があった…。