天皇陛下はお誕生日に際しての記者会見で、敬宮(としのみや、愛子内親王)殿下が今年12月に成人を迎えられることに関連して、以下のようにおっしゃった。
「今後、成年皇族として公務に当たっていくことになりますが、感謝と思いやりの気持ちを持って、一つ一つの務めを大切に果たしていってもらいたいと思います」と。
このおことばに接し、今から40年ほど前の、まだ皇太子にもなっておられなかった当時のご発言を思い出した。陛下はこのようにおっしゃっておられた。
「(大学ご卒業後)これから先はいろいろな公務が確かに多くなると思うのですが、当面は皇族として、公務として与えられたこと一つ一つを大切にしていきたいと思っています」
(昭和57年3月15日)と。
ご公務(お務め)の「一つ一つを大切に」されるお気持ちは、まさに一貫して揺らぐことがない。それに、この度は「感謝と思いやりの気持ちを持って」という言葉が加わっている。
これは、昭和天皇と上皇陛下のなさりようから間近で学びながら、ご自身が実際にご公務のご経験を重ねられる中で、より深く心に刻まれたことだろう。
更に、次のようなご表現も。
「国民を思い、国民に寄り添う点で、災害で被災された方々、障害者や高齢者、あるいは社会や人々のために尽くしてこられている方々にも心を寄せ、ねぎらい、励ましていくことはとても大切なことです。それは、私と雅子二人の自然な気持ちであるとともに、皇室として
大切な務めであるとも思います」と。
皇室の務め“だから”国民に心を寄せるのではなく、何よりもそれがご自身の「自然な」お気持ちであるということ。それを率直にお述べになっておられる。
銘記したい。