アイドルグループ、AKB48。
東日本大震災から10年間、途絶えることなく、支援活動を続けて来た。グループの何人かが現地に赴(おもむ)いて、ミニライブをやったり、ハイタッチ会をやったりして、現地の人々を元気付けている。
私も、第1回(平成23年5月22日)の岩手県の大槌町(おおつちちょう)でのライブの様子を映像で拝見したが、被災地の皆さんの盛り上がり、喜びようは、尋常ではなかった。支援活動の名前は「誰かのためにプロジェクト」。それを今迄、継続するのは、なかなか出来ないことだろう。支援活動の中心メンバーの1人だった同グループの前総監督・横山由依さん
(現地活動への参加回数は17回)の発言をいくつか取り上げる。
「これまで世の中で大きな災害や事件が起きても、他人事(ひとごと)というか、自分に置き換えることは、なかなかできませんでした。けれども、東日本大震災はそうではなくなりました」
「被災地に伺うことが、果たして良いのかなという疑問がありました。東北の皆さんが困っている中、東京で普通に生活できている私たちが行くのはどうなんだろうと、正直思いました」
「(避難所の隣の広場に止めた小さなステージトラックでのミニライブについて)避難されている皆さんの居場所にお邪魔させていただいているわけですし、ステージ衣装もTシャツにデニム。もちろん照明もありません。私たちはいつもきらびやかな衣装や照明の演出に助けられているところがあるので、緊張で押しつぶされそうになりました」
「(最初の曲のイントロが流れ始めると被災者の皆さんが笑顔で手拍子をしてくれたり、大きな声で声援を送ってくれたりした。ステージ正面にいた小さな子供が、喜んでいる姿もはっきり見えた)被災地でライブをするのは迷惑かなと思っていました。でも、私たちは歌って、踊ることしかできないし。とにかく、それを一生懸命やるだけでした」
「ハイタッチのとき、皆さんが『元気になった』『来てくれてありがとう』と言ってくださって、それがすごく嬉しかったです。歌って、踊ることしかできないと思っていたけど、
逆にそれを喜んでくれる人がいる。もしかしたら少しは力になれるのかなと、ちょっとだけ光が見えた気がしました」
「(売名行為とか偽善というバッシングを受けたことに対しては)私たちが活動するときに、良くない声も聞こえてきたのは事実です。けれども、現地に足を運ぶと、皆さんが優しい言葉だったり、温かく迎えてくださったりするのを目(ま)の当たりにしてからは気にならなくなりました」
「被災地に行かせていただくと、今まで気付かなかった日常がすごく幸せだなと思えます。
最初は自信がなくて、行くのは失礼かなと思っていました。でも、回を重ねるにつれ、人は人と支え合って生きていることを実感しましたし、その輪の中に少しでも、自分たちが存在していたらいいなと前向きになりました。プロジェクトの名前にもなっているように、『誰かのために』なれていると思うと嬉しいです。この活動は、自分の心の糧になっています」
(現代ビジネス、3月11日、7時11分配信、伏見学氏の記事より)
彼女たちのこれまでの活動に、拍手を送りたい。