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執筆者の写真高森明勅

有識者会議は設けたくなかった

更新日:2021年5月25日

改めて言う迄もないかも知れないが、政府は有識者会議を設けたくなかった。


「政府はこれまで、非公式に学識経験者らに接触し、それぞれの意見を聞き取ってきた。これを踏まえ、女性・女系天皇を実現するための法整備は見送ることにした。公の場で議論を行う有識者懇談会も設けない方向だ」(読売新聞、令和2年2月16日付)と。


「公の場で議論を行う」ことになれば、皇位の安定継承を目指す本格的な検討は避けられず、そうすると「女性・女系」について封印する訳にはいかなくなる。


小泉純一郎内閣の有識者会議報告書を受けた法整備が、逆風を受けて頓挫した経験が、政府にとってはトラウマになっている。だから、退位特例法の附帯決議があるにも拘(かかわ)らず、先延ばしを続けて来たし、極力、真正面からの議論からも遠ざかろうとして来た。


水面下で画策した結果、逃げ切り策として捻(ひね)り出したのが“皇女プラン”だった。


「政府は年内(令和2年)にも皇女の創設案を大島衆院議長に報告する方向で調整している」「女性皇族が結婚後も皇室にとどまる『女性宮家』の創設は見送る方向だ」(読売新聞、令和2年11月24日付)と。そのプランが事実上、潰されたので、遂に有識者会議を

設ける以外に手は無くなった。


その経緯はきちんと見届けておく必要がある。

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