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執筆者の写真高森明勅

皇室典範と女性宮家

更新日:2021年5月25日


先日、皇室経済法と「女性宮家」について取り上げた。同法は内親王・女王が「独立の生計を営む」可能性を認めている(第6条第3項第3号・第5号)。それを“女性宮家”と呼ぶことも可能だろう。


しかし、それはあくまでも“ご独身”のまま「独立の生計を営む」場合だ。ところが、皇位の安定継承を巡るこれまでの議論の中で対象になっている「女性宮家」は、内親王などが“ご結婚後”もそのまま皇籍に留まり、ご自身が当主となられて「独立の生計を営む」ケースだ。

事情が全く異なる。

後者の意味での「女性宮家」を可能にするには、皇室典範の改正が欠かせない。何故なら、典範第12条には以下の規定があるからだ。


「皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」と。

この規定が維持されている限り、内親王などは(国民男性などとの)ご結婚と共に「皇族の身分を離れる」ことになる。

又、第15条にも次のような規定がある。

「皇族以外の者及びその子孫は、女子が皇后となる場合及び皇族男子と婚姻する場合を除いては、皇族となることがない」と。

第12条だけを改正しても、この条文がそのまま残っていたら、どうなるか。

内親王などを当主とする宮家が設けられても、その配偶者たる国民男性は、「皇族」になることが出来ず、「国民」に留まることになる。その場合、新しく創設された女性宮家は、皇族と国民が1つの世帯を構成するという、極めて不自然な形になってしまう。よって、同条の改正も不可欠だ。私が既に公表している叩き台としての改正案は以下の通り。


第12条 

女王は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる。但し、やむを得ない特別の事由があるときは、皇室会議の議により、皇族の身分を離れないものとすることができる。(これによって、内親王はご結婚後も皇籍に留まられることになり、女王も「特別の事由があるとき」は、皇籍に留まられる)


第15条 

皇族以外の者及びその子孫は、天皇及び皇族と婚姻する場合を除いては、皇族となることがない。(これによって、国民は男女に関わりなく、天皇・皇族とのご結婚を介して皇籍を取得できる)

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