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執筆者の写真高森明勅

4月21日、皇位継承有識者会議ヒアリングでの女性・女系容認論

更新日:2021年5月25日


去る4月21日、皇位継承を巡る有識者会議の第2回ヒアリングが実施された。


日本近現代史の専門家で日本大学文理学部教授・古川隆久氏、日本中世史の専門家で東京大学史料編纂所所長・本郷恵子氏らが、女性・女系天皇を容認すべきであるとの立場を明確に示された。


本郷氏の説明資料から。


「〔皇位継承資格を男系男子に限定する現在の制度について〕今日の家族観や性別についての考え方からすれば、男女の別のみにもとづいて、このような身の振り方を分けるやり方には疑問を感じざるをえない」


「〔内親王・女王に皇位継承資格を認めることについて〕少数であれ、天皇位に就いた女性がいたという事実は、たとえば他の大臣・大納言のような役職には決してみられないものである。天皇は…必ずしも女子を排除する存在ではないと考えられる。


また、中世には内親王が、皇室領の継承者・天皇家の構成員の庇護者としてあらわれるなど、確固たる役割を担った事例がみられる。このような歴史的事実を踏まえれば、内親王・女王への皇位継承資格の拡大という措置は、驚くべき展開ではなく、一定の根拠をもつものと理解することができる」


「〔皇位継承資格の女系への拡大について〕女性皇族に皇位継承資格を認めるのであれば、男性皇族と同じ条件で処遇するのが論理的な筋道にかなったやり方である。皇位継承資格の女系への拡大は当然であろう。…女系による皇位継承は先例のないことではあるが、長きにわたる天皇の歴史を十分に理解したうえで、新しい段階に歩を進める決断をすることは、伝統を更新し、その価値を再認識する意義を持つであろう」


「〔皇統に属する国民男性の皇籍取得について〕旧宮家が皇籍を離脱して以来、すでに70年以上が経過しており、国民にとっては全く遠い存在となっている。皇統に属する男子というだけでは、皇位継承資格者として現在の女性皇族を上回る説得力を持つとは考えられないのではないだろうか。


また…〔養子縁組や別に皇籍を取得する場合〕いずれにしても、皇統に属する男系の男子のなかから、なんらかの選択を行うことになるだろうし、当事者の側の希望や事情なども勘案する必要があるだろう。…厳密な血統継承には人智を超えた部分があり、(婚姻によって皇族となる場合を除き)選択や希望の結果として皇族になるというのは、そぐわないのではないだろうか」


「天皇制は、明確な検証を経ないまま続いてきた。この機会に女性・女系への継承資格の拡大が実現すれば、国民たる私たちは、天皇制の存続について非常に重要な決定を行ったという、大きな自信を持つことができるのではないだろうか」


傾聴すべき指摘が含まれている。


古川氏の説明資料も、もとよりそのまま支持し難い箇所も見掛けるが、興味深い。同資料の脚注に、平成17年6月8日の皇室典範有識者会議のヒアリングでの私の意見陳述を取り上げて戴いたのは光栄だ。

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