皇位の安定継承を目指す有識者会議。
去る5月10日の第4回会合は取り分け重要な意味を持った。
何故なら、憲法上の検討を中心課題としたからだ。
政府・国会がどのような制度改正を行うにせよ、“憲法の枠内”という限界が当然ある。
その意味で、第4回会合によって、政府・国会が「行えること」と「行えないこと」が、ほぼ見えて来たと言える。
先ず、憲法上「行えること」は、女性・女系天皇、女性宮家を認める皇室典範の改正(但し、政治の判断として実際に行うかどうかは又、別の問題)。
一方、「行えないこと」は、旧宮家系国民男性を養子として迎えるにせよ、他の方法を採るにせよ、新しく皇籍の取得を認める典範改正や特別立法。
こちらは、今の憲法を前提とする限り、「国民平等の原則」に反し、“門地(もんち)”による差別に該当する恐れがある。
つまり、「違憲」の疑いを否定できない。勿論、そのような方策を政府・国会が採用できるはずがない(百地章氏は異なる意見ながら、孤立した見解に過ぎない)。
従って、“旧宮家案”は事実上、同日の会合によって選択肢から除外される結果になった、と判断できる。もっとも、これまで指摘して来たように、政府は元々、早い段階からこの選択肢を除外していたと考えられる。
しかし、今回、現在の憲法学界を代表する東大・京大2人の憲法学者(宍戸常寿氏・大石眞氏)が揃って、公式の場で憲法上の問題点を明確に指摘された以上(詳しくは両氏の同会合での「説明資料」を参照)、この案は誰の目にも明らかな形で“葬り去られた”と言えるだろう。
にも拘らず、メディアはその事実にほとんど気付いていないようだ。
この辺りのメディアの鈍感さは、どうしたことか。
恐らく、憲法という存在を、それだけ軽視している証拠だろう。