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執筆者の写真高森明勅

男系女性天皇と女系天皇は憲法上、質的区別は無いという事実



皇位の安定継承を目指す有識者会議でのヒアリングが終わった。

今回のヒアリングは、テーマについて必ずしも専門でない方々も自覚的に多く招いた(その一方で招かれるべき専門家を呼ばなかった)点が、ユニークだった。


専門家はそれぞれ既に自らの見解を公表しているから、それを参照すればよいし、これまでの対立の不毛な堂々巡りを避けようとしたのかも知れない。それに加えて、会議メンバーがヒアリング対象者に率直に疑問をぶつけていたのも、印象に残った。


《男系限定派に配慮する法律家》


一連のヒアリングの中で、第4回会合(5月10日、ヒアリングとしては3回目)は、憲法学者・法律家を招いていた。

この回は、政府・国会が取り組むべき制度改正の法的枠組み(選択肢として、法的に何が可能で、何が不可能か)を見定めるという、特別に重要な意味を持った。


この日、ヒアリングに応じた1人は、元最高裁判事の岡部喜代子氏。


「女系天皇を認めることは憲法違反ではない」と言われながら、「今の段階では男系を主張する論者からも理論的には認めてよいはずであるところの男系女子の皇位継承を認めるということが、

多くの賛同を得られる可能性もあり、円満に皇位継承者を増やす方策ではないか」とされた。


要は、法的には女系天皇で問題はないが、政治的にはその一歩手前でどうかという、男系限定論者にも配慮した、折衷的な意見だった。


《男系女性天皇と女系天皇》


これに対し、会議メンバーの質問が面白い。


「これは言い方を換えれば、強固な反対がなく、国民の広い賛同が得られれば、女系天皇に先生も

特に反対する特段の理由もないということか」と質問している。


岡部氏の回答は

「反対がなければいいのかもしれないが、もう少し考えたい」。


これに対して、更に次のように迫った。

「そうすると、男系女子の場合の女性天皇と、女系天皇とでは、憲法論上、何か質的な、大きな違いはないとお考えか」。


これへの答え。


「おっしゃるとおり、ないと思う」。


これが法律家としての“正解”だ。

会議メンバーはそれをうまく引き出している。

私は有識者会議が発足した当初、「軽量級」とか失礼なブログを書いた。


しかし、ヒアリングが始まってからの、ヒアリング対象者への、なかなか切っ先鋭い質問の浴びせ方を拝見していると、メンバーの真剣さと勉強ぶりが、伝わってくる。


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