菅義偉首相が自民党総裁選への不出馬を表明した。
それによって、皇族数の目先だけの確保に“後退”した有識者会議の存在感も、いささか微妙になって来た。
衆院選後までに行う予定だった議論の取り纏めを、菅首相の在任期間を睨んで前倒しし、今月中にも区切りを付けるとか(TBS NEWS 9月6日19時47分配信)。
しかし、前内閣の“置き土産”になってしまう同会議の答申が、新内閣でどのように扱われるか。それは、誰が次の首相になるかで、違って来るだろう。
例えば、安倍晋三前首相が支援するらしい高市早苗前総務相が首相になれば、答申内容に関係なく、女性皇族がご結婚後も皇籍に残られる案を切り捨てて、一気に旧宮家案にシフトしそうだ。
又、世論調査での支持が多い河野太郎ワクチン担当相が首相になれば、今は総裁選に向けて従来の主張をトーンダウンさせ、有識者会議の答申を尊重するポーズを見せているものの(政治家ならそれくらい朝飯前でやるだろう)、女性・女系天皇、女性宮家という選択肢が、再び政治の場に浮かび上がる可能性も皆無ではあるまい。
更に、岸田文雄前政調会長がこのテーマについてどこまで真剣に考えているか、私は承知していない。
もし首相になった場合、高市・河野両氏に比べると、最も答申を重視しそうな気もする(産経新聞との単独インタビューでは「女系天皇は考えるべきではない」と答えたようだ。同紙9月9日付)。
いずれにせよ、総裁選後の臨時国会の召集、新首相の指名、組閣、所信表明演説などを行うことから、衆院選の日程が11月にずれ込む公算が大きくなって来た(任期満了後ながら法的には許容される)。
そうなれば、皇位の安定継承を巡る重大な局面は、当初の予想より遅くなり、敬宮(としのみや、愛子内親王)殿下の二十歳(はたち)のお誕生日(12月1日)より“後”になる場合も、あり得る。
敬宮殿下が成人を迎えられ、ご公務に携わられるようになると、殿下への注目は格段に高まるだろう。