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執筆者の写真高森明勅

皇位継承問題、政府・事務方キーパーソンの驚くべき時代錯誤

更新日:2021年11月29日


皇位継承問題、政府・事務方キーパーソンの驚くべき時代錯誤

政府の皇室制度連絡調整総括官の山崎重孝氏。


今、国民が求める皇位の安定継承ではなく、目先だけの皇族数の確保で誤魔化そうとしている政府の思惑を、実務面で取り仕切るキーパーソンだ。


以前、時事通信がインタビュー記事を配信していた(8月29日)。

政府サイドの本音がよく分かる貴重な記事だろう。


11月30日から有識者会議がいかにもな(眞子さまのご結婚と渡米を待っていたかのような)タイミングで再開されるに当たって、顧みておくのも無駄ではあるまい。


《政府の本音》


女性・女系天皇、女性宮家には手を着けない。

現在の皇位継承順序を踏まえ、悠仁親王殿下のご即位を前提に、未婚の女性皇族が結婚されても、ご本人だけは皇族の身分を保持して戴く。

―こんな考え方だ。


案の定と言うべきか。


これを、国会・国民の力で、“当たり前”の線に押し戻す必要がある。

しかし、未婚の女性皇族がご結婚後も“ご本人だけ”皇族の身分を保持される無理筋のプランを正当化すべく、こんな発言をしているのは驚く。


「孝明天皇の妹で徳川家茂に嫁いだ皇女和宮も徳川和宮になっているわけではなく、内親王のままだった。宮家と呼ばれるか否かは今の議論としては重要ではない」


前近代は、民間の女性が皇族と結婚しても皇族にはなれない。逆も同様。

そんな時代だった。

その意味で、天皇と皇族のみによって構成される近代以降の「皇室」とは、存在様式そのものが違っていた。だから、今後の未婚の女性皇族の身分を巡る議論には、参考にならないし、勿論、そのまま当て嵌めるべきでもない。その程度の理解も無いのだろうか。


《原則を根底から崩す》


しかも現代においては、ご結婚相手が国民のままならば、憲法第3章が保障する政治・経済・宗教活動などの自由も、全て最大限、尊重される必要がある。そのことと、結婚相手の皇族女性としてのご身分・ご活動と、果たして両立できるのか。


皇室の“将来”に関わる議論をすべき場面で、前提となる皇室の在り方そのものが全く異なる、前近代の話を“切り札”のように持ち出すなんぞ、「時代錯誤」も甚だしい。


現在は婚姻によって、民間の女性も皇族の身分を取得できる一方、内親王・女王も皇族の身分を失うという形で、皇室と国民の“区別”を確保している。

その原則を根底から崩そうとしている自覚が、政府にはあるのか。


《腰が引け過ぎ》


他にも聞き捨てにならない発言がいくつもある。


「悠仁さまがいらっしゃる中で女系天皇の議論を進めて行くことに果たしてなるのか」


「今、(有識者会議の)事務局がさまざまな課題について研究している。例えば、海外で結婚した王族がどうなっているか。養子についてもだ」


「今回は、2017年に天皇退位特例法が成立した時ほど国民共通の思いが形成されていない」


一々コメントしないが、腰が引け過ぎて、危機の本質を隠蔽する言い逃れを並べているようにしか見えない。なお、改めて言うまでもなく、11月30日は秋篠宮殿下のお誕生日だ。

この日に公開される記者会見でのご発言に注目したい。

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