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執筆者の写真高森明勅

「難聴」への関心を呼びかけられた三笠宮家の瑶子女王殿下


「難聴」への関心を呼びかけられた三笠宮家の瑶子女王殿下

三笠宮家のご次女、瑶子(ようこ)女王殿下は昨年12月1日、「難聴」についての取り組みなどを進めるNPO法人の名誉総裁に就任された。


去る3月25日に埼玉県入間市でヒアリングフレイル(聴覚機能の衰え)を巡る講演会が開催された際、同法人の名誉総裁としてご臨席になった。この時の様子が新聞で紹介されていた(産経新聞4月9日付、緒方優子氏)。


「瑶子さまは、お言葉の冒頭、会場を見渡すと、『皆さまのご年齢でしたら、“ヒゲの殿下”(寛仁〔ともひと〕親王)と言ったらお分かりになるかもしれませんが、その2番目の娘です』と自己紹介。


テーマに沿った自然な流れの中で、ご自身の難聴の症状を明かされた。


20代の頃から、低い音や高い音の一部が聞き取れない『感音性難聴』のご症状があること。

近くで警護に当たる護衛官と会話される際にもかみ合わず、『まあいいや』と意思疏通をあきらめてしまう場面があること。


皇族として人の話に耳を傾けられることが多い立場で、『“もう一度言っていただけますか”というのはなかなか言いづらい。こういうことを言っていらっしゃるんだろうな、と想像しながらお話を伺っているというのが実際でした』


淡々と、それでいてドキッとするような率直さを持って紡ぎ出される言葉の一つ一つに、少しずつ会場全体が引き込まれていくように感じた」


「シンプルなグレーのパンツスーツ姿の瑶子さまが関係者とともに会場のホールに入られた際、客席ではそのお姿に気づいていない人も多かった。それでも、10分ほどのスピーチを終えて壇上を後にされる際、会場は大きく、温かな拍手に包まれていた。


『自分の体験を語ることで、聞いている人にも親近感を持って耳の問題を考えていただけるのではないか』。


終了後、瑶子さまはお言葉に込めた思いについて、関係者にこう打ち明けられたという」


皇族というお立場で、自ら難聴の症状があることを公表されるのは、勇気あるご態度だろう。

昨年12月に名誉総裁に就任されている事実に注目すると、今後も長く皇族の身分にとどまられるご覚悟のように拝される。


同記事には「今後、活動を増やしていきたい」とのご発言も紹介されている。


政府・国会は、内親王・女王方がご結婚後も皇籍にとどまられるルールに改める場合、くれぐれも当事者のお気持ちや人格の尊厳に配慮し、皇室の「聖域」性を損なわない制度を、丁寧に検討する必要がある(有識者会議報告書のプランは論外)。

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