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執筆者の写真高森明勅

政界の暴れん坊だった亀井静香氏の「政治家」観察レポート③


橋本龍太郎

更に引き続き亀井静香氏『永田町動物園』から。


「総裁選の議員集会を、俺は会場の一番後ろの壁にもたれかかって見ていた。

橋龍(橋本龍太郎)の周りにはポスト欲しさにヨイショ、ヨイショの議員たちが群がっていた。

でもあいつは、その群れをかき分けて俺のところに来て、握手をした。そして、ウインクして去っていった。


俺のおかげで、小渕(恵三)を差し置いて総裁選に出られたとわかっていたのだ。

…橋本内閣が誕生し、俺も組織広報本部長という新設された四役に就いた。

ともにお国のために頑張ろうと意気込んだのだが、現実は違った。あいつは総理になった途端に変わってしまったのだ。大蔵省の虜になり、緊縮財政を主導し、政策的に縮小路線に舵を切る。

官僚にのせられ、消費税を3%から5%に引き上げてしまった。公共事業もなんでも切ってしまえと、無茶なことをやりだした」



「(塚原)俊平が第1次橋本内閣で通産大臣だった頃を思い出す。

朝、少しだけ大臣室に顔を出して仕事をするのだが、昼になると事務所に戻り、昼飯をたべながら俺たちと麻雀を始める。国会開会中だって関係ない。

秘書官や役人が決裁を取るため、文書を持参してくるのだが、俊平は麻雀に集中しているから、あまり中身を見ないまま決裁していた」



「荒井(広幸)は、郵政民営化阻止のため、翌年の参院選に比例全国区で出馬することになった。

…(出陣式に)集まった聴衆は10人にも満たない。衆院選に再挑戦しなかったことに、支持者が猛反発したようだ。荒井には全国団体の後ろ楯もない。裸一貫で出た荒井を、絶対に落としてはならないと思った俺は、自分の選挙でもしたことがない行動に出た。土下座だ。


『こんな良い男はいません。このまま終わらせてはもったいない。どうか彼を全国区に出させてあげてください』事前の打ち合わせなど、一切していない。荒井は、俺が土下座をしている傍らで、必死に涙をこらえていた」


(続く)



追記


今月のプレジデントオンライン「高森明勅の皇室ウォッチ」は少し前倒しして23日月曜日、午後1時に公開予定。江森敬治氏『秋篠宮』を取り上げた。

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