世界の国々を大別すれば「君主国」と「共和国」に分けることができる。しかし、共和国は民主的・現代的で、君主国は独裁的・旧時代的というイメージを、漠然と抱いている人がいるのではないか。
もちろん、そのようなイメージに合致する国々もあるだろう。だが各国の実態を見ると、一概に思い込みだけで語ることはできないことが分かる。むしろ具体的なデータで見ると、伝統ある立憲君主国の場合、その国民は世界の中でも“より”幸せを享受している部類に入ると言えるのではないか。
ここでは、客観的な3つの指標を取り上げる。
①平均寿命、②国民1人当たりの名目GDP、③体制自由度だ。
①平均寿命については、80歳以上の国々が183ヵ国を対象とした調査(WHOの報告書による)で31ヵ国ある。
②1人当たりの名目GDPについては、3万ドル以上の国々が193ヵ国(+地域)を対象にした調査(IMFの統計による)で、35ヵ国(+地域)ある。
③体制自由度については、90点以上(「政治的権利」40点満点+「市民自由度」60点満点)の国々が198ヵ国(+地域)を対象とした調査(Freedom Houseの報告書による)で、43ヵ国ある。
これら①②③すべてに当てはまる国々は、シンプルに考えて、少なくともこれら以外の国々との比較において、一先ず現代の世界でより“幸せ”な国々と言えるのではないだろうか。数えてみると19ヵ国ある(この中には、例えばアメリカは入らない。平均寿命が80歳に達していないからだ)。
これらの中、君主国は以下の通り。
日本、イギリス、オランダ、スペイン、ベルギー、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、ルクセンブルク、以上、9ヵ国。それぞれ伝統ある立憲君主国と言える。
これに英連邦王国(イギリスの君主を自国の君主・元首として戴く独立国、イギリスを含めて15ヵ国)の一部の国々を加えてもよいだろう。具体的には、ニュージーランド、カナダ、オーストラリアの3ヵ国。
以上を合計すると、19ヵ国中、12ヵ国は君主国という結果になる。
世界の200弱の国々の中で、君主国はおよそ28ヵ国(英連邦王国を加えると42ヵ国)しかない。その事実を勘案すると、君主国が①②③すべてに当てはまる比率は、共和国に比べて遥かに高い。
こうした実情を見ると、伝統ある立憲君主国の場合、未熟で野蛮な共和国に比べて、国民の幸せに貢献する度合いが格段に高い、と見ることができるのではあるまいか。