去る9月27日、日本武道館で安倍晋三元首相の「国葬儀」が執り行われた。 これに伴って様々な報道が行われたものの、しっかりと取り上げられなかったと思われる事実を紹介しておく。
開式に先立って、会場に入った参列者は立ったまま、喪主の安倍昭恵夫人以下のご遺族を待つ。 ご遺族が入って席まで来ても、立ったまま秋篠宮殿下以下の皇族方を待つ。ところが、皇族方が席まで来られても、やはり立ったまま、この日、最も大切な方々をお待ちされた。
皇族方よりさらに後に会場に入られたのは、上皇・上皇后両陛下の使者である上皇使(じょうこうし)・上皇后宮使(じょうこうごうぐうし)、さらに最後に天皇・皇后両陛下の使者である勅使と皇后宮使がご臨席になった。
勅使と皇后宮使は席まで来られると(席はご遺族の“さらに前”の最前列に設けられた)、それぞれ(勅使→皇后宮使の順番で)直ちに座られた(この時、皇族方はまだお立ちのまま)。 その後、司会に促されて一同は着席した。
弔辞の後も、勅使・皇后宮使が最初に(勅使→皇后宮使の順番で)「ご拝礼」(その際、参列者一同は起立)、次に上皇使・上皇后宮使が(上皇使→上皇后宮使の順番で)ご拝礼、その後、秋篠宮殿下以下皇族方の「供花」、葬儀委員長・岸田文雄首相の「献花」、ご遺族の献花、さらにその他の参列者の献花…という順番で続いた。
国家的儀式における勅使・皇后宮使、上皇使・上皇后宮使の立場の“重み”が際立った。
追記
9月28日、「The Tokyo Post」に拙稿「女性君主・女系君主は立憲君主国では当たり前」が公開された。このタイミングなので英国のチャールズ3世新国王の即位に触れたため、プレジデントオンラインと重なる部分があるのはご容赦願いたい。
短い文章ながらより包括的な議論を提示できたと考えている。