元最高裁判事で「皇室典範に関する有識者会議」座長代理だった園部逸夫氏。
昭和4年(1929年)のお生まれで、『皇室法概論』『皇室法入門』などのご著書があり、
紛れもなく皇室法の第一人者だ。
私自身、上記有識者会議のヒアリングに応じた際、園部氏から適切な質問を受けたことを覚えている。又、その後、国会議員の大がかりな勉強会の控え室でご一緒し、しばし懇談の時間を戴いたのも貴重な経験だった。
その園部氏が「女性天皇を認めよ」と懸命な訴えをされている(『文藝春秋』2月号)。
一部を引用させて戴く。
「皇統を安定的に継承・維持するためには、女性天皇を認めるしかない。
これが私の結論です。
実現させるか、棚上げを続けるか。あとは政治の決断1つです。…戦前は(成年以上の男性皇族によって構成されていた)皇族会議で検討されていた皇室問題の議論が、国会と国民、主に内閣の責任の範囲となった。皇族に議論や判断の権限がない以上、国会で責任を持って議論し判断するよりほかありませんが、これまでの歴代内閣は、残念ながらこの責任を放棄してきました。
…女性天皇に反対する一部の保守派は、『女性』という言葉を出しただけで激しく反発し、議論の継続自体を阻止しようとするのです。このような状況ではリスクを恐れ、問題は棚上げされるばかりです。その間にも皇統は刻一刻と衰退への道を歩むことになります。天皇制が国民の象徴であるのなら、女性天皇を心から敬い、支え続けていける社会であってほしいと、切に願います」
皇室の将来を憂う、こうした切実な声は「政治(内閣・国会)」の現場に届かないのか。
「実現させるか、棚上げを続けるか。あとは政治の決断1つ」なら、「政治」に対して
「棚上げ」を許さず、「実現」を促す行動を積み重ねることが、国民の責務だ。