目先だけの皇族数確保策で問題解決の“先延ばし”を図る有識者会議報告書では、「構造的な欠陥」を抱える皇室典範のルールに基づく現在の皇位継承順位を、そのまま固定化しようとしている。
しかし繰り返すまでもなく、秋篠宮殿下は天皇陛下より僅か5歳お若いだけ。従って、秋篠宮殿下が実際に即位されることは(あってはならない異常な事態を除けば)、現実的には想定しにくい。
更に(「世襲」ならば当たり前であり、憲法上の要請でもある「直系優先」の原則を前提とする限り)、悠仁親王殿下のご即位を当然のこととして予定する皇位継承法では、皇室の未来を閉ざしてしてしまう。悠仁殿下が即位される場合、その根拠となるのは、皇位継承資格がこれまで通り「男系男子」に限定されるというルールだ。このルールが頑固に維持されると、どうなるか。
答えは単純だ。
将来、皇室に悠仁殿下お1方だけが残ることになる。
いわゆる旧宮家プランは、既に何度も指摘してきたように、憲法違反であり、もし憲法をねじ曲げてゴリ押しすれば、皇室は“国民平等”の理念にひび割れを起こさせる存在と見られかねない。
よって採用できない。
更に、内親王・女王方やそのお子様に皇位継承資格を認めなければ、そのご結婚は「皇位の世襲」に何ら関わらないので、ご結婚後も皇族の身分を保持され、当事者の自由と権利を制約し続ける、憲法上の根拠を持ち得ない。
だから、それらの方々はご結婚と共に皇族の身分を離れられる制度としてこそ整合性を持ち得る
(現行制度がまさにそのようになっている)。そうであれば、いずれ悠仁殿下お1方だけの皇室になることは避けられない。
そうした将来が予めはっきりと見通せる状況では、畏れ多いが悠仁殿下のご結婚のハードルは極めて高くなる。しかも、そのご結婚相手が“お1方以上の健康な男子”を生まなければ、皇室そのものを滅ぼす結果になる。まさに想像を絶した重圧だろう。
この重圧は、悠仁殿下のご結婚を一層至難にせずにはおかない。
結局、悠仁殿下のご即位を予定する「男系男子」限定という皇位継承のルールは、悠仁殿下のご結婚を至難なものする。万が一、「男系男子」限定というルールが維持されたまま悠仁殿下がご独身を通されるような事態に陥ると、皇室の未来は一体どうなるか。
少しでも想像力があればたやすく想像できるはずだ(幸いご結婚に至っても、たった一組だけのご夫婦からスタートする場合の、皇位継承可能性の「期待値」の危うさは既に指摘した通り)。
悠仁殿下のご即位を自明視するルールは、殿下ご自身のご生涯を苛酷なものとし、それはそのまま皇室存続の危機に直結する。