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執筆者の写真高森明勅

皇位の安定継承を「全てか無か」式のバクチ思考で語るなかれ


皇位の安定継承を「全てか無か」式のバクチ思考で語るなかれ

皇位の安定継承を“絶対に”確保できる方策なんてあり得ない、と強調する論者がいるとか。

未来永劫、皇位継承の危うさを100%排除できる仕組みなんて無い―という意味では、畏れ多いが不妊や不婚の可能性も排除できない以上、その指摘自体は間違っていない。


しかし、ことさらそれを力説するのは一体、どういう意図なのか。これについて考える為に、いくつか架空の事例を挙げてみよう。


◎良いドライバーと駄目なドライバー。

〇前提命題=安全運転をしなければ交通事故につながるが、どんなに安全運転を心がけても“絶対に”事故に遭わないとは断定できない。

△良いドライバー

→だからこそ、より細心に安全運転を心がける。

△駄目なドライバー

→だったら、安全運転なんてしない。


◎良い受験生と駄目な受験生。

〇前提命題=受験勉強をしなければ志望校に合格できないが、どんなに頑張って受験勉強をしても“絶対に”合格できるとは断定できない。

△良い受験生

→だからこそ、熱心に受験勉強に打ち込む。

△駄目な受験生

→だったら、受験勉強なんてしない。


◎良い患者と駄目な患者

〇前提命題=快復の為には治療、静養が欠かせないが、どんなに治療、静養に専念しても“絶対に”快復できるとは断定できない。

△良い患者

→だからこそ、治療、静養に最大限、努める。

△駄目な患者

→だったら、治療も静養もやらない。


◎良い皇室論と駄目な皇室論

〇前提命題=今の「男系男子」限定というルールを変更しなければ、正妻以外の女性(側室)から生まれた非嫡出子・非嫡系子孫の皇位継承可能性が全く除外された条件下では、皇位の継承も

皇室の存続も行き詰まるが、どんなルールでも皇位継承が“絶対に”安定するとは断定できない。

△良い皇室論

→だからこそ、より安定性を確保できるルールに変更する。

△駄目な皇室論

→だったら、(明治の皇室典範以来の)“先例”通り「男系男子」限定で押し通す。


上記の論者は果たしてどちらなのか。


追記


プレジデントオンライン「高森明勅の皇室ウォッチ」令和5年最初の記事は、“少子化”と皇室の将来について取り上げた。1月27日金曜日に公開予定。

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