これまでも繰り返し述べて来た論点について、理解に混乱があるといけないので、いささかウンザリ気味ながら改めて簡単に整理する(つい最近も取り上げたはずだが…)。
今の制度では、男性皇族が国民女性と婚姻されると、お相手の女性は皇族の身分を取得される(明治の皇室典範以来の制度)。しかし、それは憲法が禁止する「門地(家柄・血筋)による差別」に当たらない。
何故か。
婚姻の対象となる国民が門地によって限定されて“いない”からだ(しかも当たり前ながら、婚姻そのものは憲法が要請する「皇位の世襲」の為に欠かせない)。
従って婚姻の場合でも、仮にその対象が門地によって限定される場合は、いわゆる旧宮家養子縁組プランと同じく、憲法違反となる(天皇・皇族は憲法上“例外扱い”であっても、婚姻相手は国民なので)。旧宮家養子縁組プランは、婚姻の場合とは異なり、その対象が「旧宮家」という“国民の中”の特定の門地に限られる。
よって、「門地による差別」であることを免れず、憲法違反となる(しかも憲法が規定する「世襲」は男子・女子、男系・女系を含むので、憲法上の要請にもなり得ない)。
◎婚姻=憲法が要請する「世襲」に不可欠
〇婚姻+門地限定なし→合憲
◎旧宮家養子縁組プラン=憲法の要請とは無縁
〇養子縁組+旧宮家(門地)限定→違憲
至ってシンプルな話だ。
にもかかわらず(わざとなのか、思考回路が特別なのか)一部に混乱が見られるようなので、念の為。
追記
〇2月14日、同日発売の「女性自身」にコメント掲載。
〇2月16日、「弁護士jpニュース」の取材に応じる。
テーマは「不敬罪」について。1時間ほど包括的に説明した。23日「天皇誕生日」に公開するという。
〇同日、「週刊女性」の取材を受ける。先日の衆院内閣委員会での馬淵澄夫議員の質疑をきっかけとした取材。「女性自身」に続いて。こちらは2月21日発売号に掲載予定。
〇プレジデントオンライン「高森明勅の皇室ウォッチ」は2月17日公開。