予断と偏見を排して、皇位継承のルールはいかにあるべきか?
普通に考えると、次の2つの条件を兼ね備えたルールが求められるだろう。
①皇位の継承をより安定化し得る(→憲法第2条の要請に応える条件)。
②皇室の「聖域」性が守られ、国民の敬愛と信頼の気持ちを大切にする(→憲法第1条の要請に応える条件)。
端的に言って、②の条件をクリアできなければ①だけをクリアするのは至難だろう。また一方、②だけがクリアできても①をクリアできなければ、全ては無に帰する。よって、①②は不可分一体の条件と言える。これまで提案されている方策は2つ。
その〔1〕は、いわゆる旧宮家プラン(養子縁組、法的措置のみを含む)。
その〔2〕は、女性天皇・女系天皇を認めるプラン。
これらについて、①②が当てはまるかどうか検討しよう。
まず、〔1〕はどうか。
仮にその方策が最も理想的な形で運用されたとしても、残念ながら一夫一婦制のもとでは、
皇位継承資格の「男系男子」限定を続ける限り、やがて行き詰まることは避けられない。つまり①の条件を満たさない。
さらに旧宮家プランでは、75年以上も前に皇族の身分を離れた方たちの子孫(生まれた時から国民)が“婚姻を介さないで”皇籍を取得することになるので、②の条件にも引っ掛かる。
では〔2〕はどうか。
改めて言うまでもなく、明治以来の男系男子にしか継承資格を認めないルールに対して、男性・女性、男系・女系すべてに継承資格を認める方が、皇位の継承は格段に安定化する(①をクリア)。
しかも、一般国民が婚姻を介さないで皇籍を取得するような、「聖域」性を損なう手段を厳しく排除でき、“天皇直系”による継承可能性(現在ならば天皇陛下から敬宮〔愛子内親王〕殿下へ)が高まるので、国民の敬愛と信頼の気持ちも保たれやすい(②をクリア)。
以上によって、①②の条件を前提とする限り、(〔1〕について憲法違反という致命的な難点をあえて保留しても)〔2〕の方策を採用すべきことが結論付けられる。逆に、皇位継承を行き詰まらせ、皇室の聖域性を損なって、国民の敬愛と信頼が傷付くことを積極的に望むならば、〔1〕の旧宮家プランが最適(?)ということになる(しかし結局、憲法違反なので一発アウト)。
追記
プレジデントオンラインの「高森明勅の皇室ウォッチ」は4月6日、午後1時公開予定。今回は、このところ相次ぐ、敬宮殿下「お相手(?)」報道の“うさん臭さ”について、掘り下げた。