先に紹介した『令集解』に書き込まれた注釈(新訂増補國史大系本〔第2〕、519ページ)では、「女帝」が(継嗣令「王娶親王」条に違反して)「5世王」や「凡人」と婚姻されていた場合、そのお子様は親王・内親王ではなく「凡人」となるのか、という疑問がわざわざ取り上げられていた。
これに関連して、先日のブログ(「『研究史断片』について私見を補強する貴重な指摘が届いた」4月12日公開)で述べた内容に大急ぎで付け加えると、「女帝」のご婚姻相手が“男系男子”であるはずの「5世王」(天皇からの血縁が5世で、血縁の遠さゆえに、“王”という称号を名乗ることは許されていても、皇族〔皇親〕ではない)だった場合と、「凡人(庶民=一般国民)」だった場合とが、全く同列(!)に扱われている事実に注意する必要がある。
このことは、血統以上に皇族であるか、それとも皇族ではないか、という区別の方が“より”重視されていたのを示す。重大な事実だ。
ちなみに、いわゆる旧宮家系子孫で養子縁組プランの対象になり得る人物の場合は、5世どころか22世以上の血縁の遠さであり、親の代から一般国民なので、勿論、「凡人」に属する。
週刊誌では、敬宮殿下と旧宮家系男性(=「凡人」)との政略結婚を妄想して、男子がお生まれになれば「天皇“直系(?)”の“男系(?)”男子」、などと支離滅裂なことを口走っていた男系限定論者を見かけたが…。