出版不況の中、週刊誌も軒並み苦戦を強いられている。そうした状況下、百年を越える歴史を持つ『週刊朝日』が、令和5年6月9日号で休刊することになった。
そこで思い出すのは、同誌が以前、国会議員を対象に「女性天皇」を巡るアンケートを実施していたことだ(令和元年11月1日号)。
その結果を振り返ると以下の通り(合計が100%を超えるケースも記事のまま)。
◎愛子さまが天皇に即位できるように皇室典範の改正をするべきか。
〇するべき→28%
〇するべきではない→8%
〇無回答・回答拒否→65%
◎女系天皇を認めることに賛成ですか、反対ですか。
〇賛成→29%
〇反対→13%
〇無回答・回答拒否→58%
◎旧皇族の復帰・女性宮家の創設についてどういう意見ですか(※「旧皇族の復帰」は不正確な表現ー高森)。
〇旧皇族の復帰・女性宮家の創設に賛成→3%
〇女性宮家の創設には賛成→26%
〇旧皇族の復帰には賛成→6%
〇どちらにも反対→4%
〇無回答・回答拒否→62%
どの質問にも最大の比率を占めるのは、「無回答・回答拒否」。
実に58%~65%という高い数字だ。これこそ、皇位継承問題の困難さを如実に示す事実だろう。
それは、国会議員らの無関心、無責任、「触らぬ神に祟りなし」「火中の栗を拾いたくない」という、“腰が引けた”姿勢を反映しているからだ。
勿論、このアンケートから現在までの間に衆参両院の選挙が行われており、議員の内訳に変化があった。又、この問題への関心の持たれ方にも多少の変化があるかも知れない。だから、この数字をそのまま固定的に見る訳には勿論いかない。しかし、それが劇的に改善しているとも、楽観できないのではないか。
国会議員の多くが無関心か、様子見を決め込んでいる。その一方で、“確信的”な「男系男子」固執派は、それほど多くない(6%~13%)。このアンケートに表れている数字がおよそその実態を示しているだろう。しかし、少数ながら“熱意と団結”で政界の「空気」をある程度、左右できるポジションにいるように見える(民間の「保守」系組織や言論人の後押しもある!)。
従って、皇位の安定継承を目指す皇室典範の改正の為には、最も多数を占める「無回答・回答拒否」的スタンスの国会議員をどれだけ味方にできるかが、重要な分かれ道になる。しかし、これまで長年にわたり、民間の「男系男子」固執勢力からの組織的・継続的な政界対策が積み重ねられて来た一方、皇位の安定継承を目指す本格的な取り組みは、ほとんどなされていない(恥ずかしながら私自身も、政界から要請を受けた範囲で、僅かなお手伝いをしている程度に過ぎない)。
その意味で、近頃、漫画家の小林よしのり氏がご自身の近刊『ゴーマニズム宣言SPECIAL 愛子天皇論』を、200人の国会議員に寄贈されたことは、注目すべき動きだろう。直近の参院選・衆院選の選挙期間中に、国民有志が全国規模で候補者及びその周辺に対して、「愛子天皇」を可能にする皇室典範の改正を求め、直接アプローチを行ったことと、絶妙なタイミングでリンクしたと言える。
加えて、同書が広く国民に読まれれば世論喚起に繋がり、世論が盛り上がれば“様子見”していた国会議員も、態度をはっきりさせざるを得なくなるだろう。