側室が不在で非嫡出子・非嫡系子孫による皇位継承可能性が排除された条件下で、皇位継承資格の「男系男子」限定を維持することは無理。これが、女性天皇・女系天皇も可能にする皇室典範の改正が欠かせない基底的な理由だ。
しかし「男系男子」限定に固執する人らは、なかなかその現実を直視しなかった。
だがこのところ、男系論者の中から公然と“側室復活”を唱える声が聞こえてきた。
これは結果的に、私が長年、唱え続けてきた先の主張を、遂に受け入れざるを得なくなったことを意味するだろう。
これまで男系論者は、旧宮家プランによって皇位の安定継承が可能になるかのような、非現実的な妄想を語っていた。しかし旧宮家系国民男性の中から、自ら皇籍取得の意思を示す人物は、
果たして現れるのか。「安倍一強」と言われ、憲政史上最長の在任期間を誇った安倍政権下でも、旧宮家プランは“1ミリ”も進まなかった。
しかもそれは、憲法が禁じる「門地による差別」に当たり、“一発アウト”であることが明らかになった。八方塞がりだ。
そもそも、“一夫一婦制のもとでの「男系男子」限定”というミスマッチなルール自体が皇室の危機の根本原因なので、たとえ旧宮家プランが100%実現しても、そこが是正されない限り皇位継承の安定化は望めない。やっとその事実に気がついたようだ。
そうすると、残るはルールの“ミスマッチ”を解消する為に、次の二者択一になる。
①「男系男子」限定を解除して女性天皇・女系天皇も可能とする。
②「男系男子」限定は維持して側室制度を復活する。
もはやこの二者択一しかない。
どうか男系論者はこれまでのゴマカシを全て捨て去って、男系限定を突き詰めると(それがいか皇室の方々に非礼・不敬で、非人道的で空想的で、未婚の皇族方のご結婚を至難にする以外の
何者でもなくても)側室復活を目指すというゴール“しかない”、という事実を大いに広めてほしい。そして彼らから、全国民にどちらを選ぶか強く迫ればよい。
なお念の為に付け加えておくと、側室復活を目指すということは、皇室典範に皇位の継承資格を嫡出・嫡系に限定する規定(第2条・第5条・第6条)が残っている限り全く無意味なので、該当部分の国会での改正が前提。それに賛成する議員が何人いるか。