憲法の体系書として評価が高い野中俊彦·中村睦男·高橋和之·高見勝利『憲法 Ⅰ【第4版】』(有斐閣)に、以下のような記述がある(執筆担当者は高橋氏)。
「(男女は)平等に扱うのが好ましいにしても、そもそも憲法が平等原則の例外として世襲を認めている以上、(皇位継承資格を男系男子に限定する)ここでの性差別を違憲とまではいえないであろう。
身分制が日本国憲法の基本原理と整合しないことを明確にするためには、あえて性差別を貫く方がよいという政策判断もありうるところである」
およそ学問的な論述とは思えないほど、「世襲憎し!」の個人的心情が露呈した書きぶりに驚く。
普遍的な価値というべき平等原則への例外は、あくまで憲法に明文規定がある「世襲」維持の為に“必要不可欠”な範囲に限られるべきである以上、肝心な世襲そのものを危うくする「性差別」=男系男子限定を「あえて貫く政策判断もありうる」というのは、憲法自体の要請に背を向ける暴論ではあるまいか。