日本会議の機関誌『日本の息吹』2月号に、旧宮家系国民男性の養子縁組プランにこれまで
余り注目されなかった“落とし穴”が更にあることを、自ら暴露する文章が載っていた。
「(実際の養子縁組において)養親は現在の男性皇族が望ましく常陸宮正仁親王殿下が適任だ」と(八木秀次氏)。
予め国民の側から養親を“指名”するなど、非礼·不敬も甚だしい。しかし、それにはやむを得ない事情がある。それは何か。
頭の体操として、同プランへの憲法上の疑念を一先ず横に置き、更に旧宮家系国民男性の中に自ら皇籍取得に同意する人物がいたと仮定して、制度が機能する為に不可欠(!)なのは、養子を受け入れる「養親」の存在だ。
ところが皇室の現在の構成において、制度上、養親になり得そうなのは僅かにここでお名前が出てくる常陸宮殿下お一方だけで、それ以外は想定しにくいという、男系派にとって不都合な事実がある。
先ず、聖域中の聖域というべき「内廷」のどなたかとの養子縁組ということは勿論、想定できない。又、皇位継承資格者が既にお二方おられる秋篠宮家についても、同様だ。
ところがそうなると、常陸宮殿下を除き、他の皇族方についてはそれぞれ難しい問題が出てくる。そもそも、皇統に繋がらない(婚姻によって皇籍を取得された)各宮家の妃殿下方との養子縁組だと、法定血縁(養系)では皇統に繋がらないことになる。
又、未婚の女王殿下と婚姻でなく養子縁組というのは、不自然だろう。それでも敢えて養子縁組を行なった場合、法定血縁では「女系」という位置付けになる。
勿論、皇室典範はこれまで養子縁組を否定して来たように、皇位継承も皇族方の身位も自然血縁(実系)による原則だ。それでも養子縁組という制度を新しく採用した場合、法定血縁について一般国民の受け止め方を全く無視してかかる訳には行かないだろう(自然血縁でも周知の通り
天皇から世代数にして20世以上も離れているという途轍もない遠さ!)。
そうであれば、法定血縁として皇統に繋がらないとか、男系継承に固執して養子縁組プランを採用した以上、女系と見られるのは避けたいはずだ。そうすると、妃殿下や女王殿下方は除外されて、養親になり得るお立場なのは常陸宮殿下お一方だけという結論になる。
しかし、改めて言う迄もなく、常陸宮殿下は上皇陛下の弟宮に当たられ、昭和10年のお生まれで既に88歳になっておられる。華子妃殿下も83歳というご高齢だ。
もし常陸宮殿下の養子として迎え入れられた場合、皇族としての教育にはどなたが当たられるのか。余りにも無理筋な養子縁組と言わざるを得ない。旧宮家系国民男性養子縁組プランの可能性を模索する場合、「養親」というハードルをどうクリアするのか。
追記
先日、ブログで取り上げた椎野カロリーナさんがミス日本グランプリを辞退することになった。
まことに残念な経緯と言わざるを得ない。しかし彼女には、どうか今後も前向きに生きてほしい。