ジェンダー平等の理念をそのまま皇室に当てはめて、それを根拠に女性天皇·女系天皇を唱えていると仮定して、それをやり玉に挙げる言説があるようだ(例えば『SPA!』2月27日号)。
白昼夢でも見ているのだろうか。
ジェンダー平等自体は勿論、大切な理念だ。しかし、女性天皇·女系天皇を認める必要は元々
別の理由·根拠から唱えられて来た。これは、このテーマに関心がある人たちならばよく知られている事実だろう。
小泉純一郎内閣に設けられた「皇室典範に関する有識者会議」の報告書(或いは私がそのヒアリングに応じた時に提出したレジュメ)を見ても、それは明らかだ。過去の皇位継承に大きな役割を果たした側室制度が無くなり、嫡出子·非嫡系子孫の継承可能性が排除されたという条件に加えて、
皇族方のご結婚年齢が高くなり、或いはご結婚そのもののハードルが高くなっているという厳しい現実がある。それを直視すれば、女性·女系天皇を認めるべきことは、少なくとも僅かでも安定的な皇位継承を目指す限り、自明だろう。
第一義はジェンダー平等ではなく安定的な皇位継承、皇室の弥栄だ。見え透いたすり替えに誤魔化されてはならない。
追記
①ネット上で次のような指摘を見かけた。「ジェンダー平等の為に愛子天皇を主張してるんじゃないのよ。『皇室の弥栄』を実現させるには、男尊女卑が、ジャマなだけです」(「突撃一番」氏、2月25日、サイト「愛子天皇への道」)簡にして要を得たコメントだろう。
②2月のプレジデントオンライン「高森明勅の皇室ウォッチ」は締切を天皇誕生日の後に延ばして貰った。公開は2月28日午前11時。Yahoo!ニュースにも配信。
PRESIDENT Online 高森明勅の「皇室ウォッチ」