3月22日、天皇·皇后両陛下におかれては、能登半島地震の被災者を見舞われる為に、石川県を訪れられた。両陛下をお迎えした現地の人々の声をテレビニュースなどで聴くと、改めて皇室の有り難さを実感する。
又同26日から27日にかけて、敬宮殿下は伊勢の神宮と橿原市にある畝傍山東北陵(神武天皇陵)を参拝された。特に、皇女として天照大神にお仕えした「斎王」の歴史を顧みられる為に、わざわざ「斎宮歴史博物館」と「いつきのみや歴史体験館」にも訪れられた事実から、令和におけるただお一方だけの「皇女」として、皇室にお尽くし下さるご覚悟を拝察できる。
お迎えした人達の感激の声も報じられ、深く共感した。
報道に対するネット上の反応などを覗くと、愛子皇太子→天皇への期待感がより高まっているのを感じる。
しかし、政治の現場の実情はどうか。
私は昨年12月の時点から、皇位継承問題が一応の決着を見るのは今年の前半、通常国会においてだろうという見通しを示して来た。3月19日発売の「女性自身」(4月2日号)に載ったコメントでも、小泉純一郎内閣以来、ほぼ20年ぶりに決着に向けて動き始めた政治のスケジュール感について、以下のような見通しを述べた。
「すでに立憲民主党は論点整理を終えており、各党も3月中をめどに論点の取りまとめを終えます。4〜5月には各政党各会派の意見が調整され、6月23日まで開かれる予定の通常国会の会期中に決着すると思われます」と。
事態は今のところ、ほぼここで述べたスケジュール感で進んでいるように見える。
問題は決着の「中身」だ。
私は以前のブログ(2月5日公開)で、最善から最悪まで5つの選択肢を提示した。その上でどのように決着するかについて、少し厳しいがリアルな見通しを述べておいた。
「現在の政治状況での実現可能性を考えると、率直に言って①についてはほぼ絶望的である一方、⑤がそのまま制度化される公算はかなり大きい。そこで、それをいかに④→③→②の選択肢へと押し上げるかが国民的な努力目標になる。
②に到達できれば愛子皇太子→天皇への道が開ける。逆に言えば、③以下にとどまれば、その道は差し当たり閉ざされる結果に終わる」と。
皇位継承問題について立法府の総意を取りまとめる際に、唯一無二の正解である選択肢①の「女性天皇·女系天皇」を唱える政党は、皮肉ながら元々「天皇制打倒」を掲げていた共産党だけ。
しかしこの問題について、同党の熱意や影響力をほとんど期待できないことは、上皇陛下のご譲位を巡る経緯からも明らかだろう。
そうすると、立憲民主党が選択肢④の「女性宮家」を挙げているのを除き、他の主な政党は全て⑤で足並みを揃えることになるだろう。立憲民主党の中にさえ⑤にすり寄ろうとする者らが、
少数ながら頑固に存在している。
しかし⑤で決着した場合、その後の反転攻勢が極めて困難になりかねない。ただでさえ、一旦政治の場で中途半端なレベルにすら達しない形であっても、差し当たり決着を見てしまうと、事態が再び動き出すのはいつかが、極めて不透明になる。
その上、⑤で決着すると、例えば敬宮殿下がめでたく結婚された場合、その配偶者やお子様は国民とされる。そうした状況が生まれると、女性天皇を可能とする制度改正へのハードルは、より高くなる可能性がある。皇族と国民が1つの世帯を営むという⑤は、普通の感覚があれば思い付くことすら無いような、非常識極まるプランだ。
安定的な皇位継承と無縁なばかりか、皇室の「聖域」性や厳格であるべき皇室と国民の区別を、決定的に損ないかねない。しかし目を逸らさずに今の局面を直視すれば、それがそのまま制度化される現実味が増しているのが実情だ。
客観的·普遍的な妥当性、皇室ご自身のお考え、圧倒的多数の国民の願いは、見事に一致している。にも拘らず、それと永田町の「空気」との隔絶ぶりに、目が眩みそうだ。4月以降、立法府の総意の取りまとめが本格化するはずで、6月までが差し当たり“最後の決戦”となろう。
厳しい局面ながら、国民として後悔しない取り組みに力を注ぎ、僅かでも次の前進に繋がる成果を残したい。
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