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  • 執筆者の写真高森明勅

羽毛田元宮内庁長官が「女系天皇」の可能性を訴えた背景とは


羽毛田元宮内庁長官が「女系天皇」の可能性を訴えた背景とは

「毎日新聞」3月15日18時30分配信記事で、羽毛田信吾·元宮内庁長官が福岡市で皇位継承問題についての講演(「毎日·世論フォーラム」毎日新聞社主催)を行ったことを報じていた。


羽毛田氏は講演の中で、「『(皇室制度の)改正に向かって具体的な動きを起こすことは待ったなしだ』と強い危機感を示し」


「『皇室に女性がいなくなれば、女系に広げる選択肢はそもそも成り立たなくなる』として…

国民的な議論を早急に進めるように呼びかけた」という。


宮内庁長官経験者が、政治的な取り組みが進んでいる最中に、ここまで踏み込んだ発言をすることは、恐らく異例だろう。それほど羽毛田氏の「危機感」は深いと言える。


しかし、この記事が持つ“重み”がきちんと理解されていないのではないか。


改めて指摘する迄もなく、羽毛田氏は平成時代に上皇陛下、今上陛下、秋篠宮殿下のお三方による話し合いが始まった当時の宮内庁長官だった。この話し合いの場には長官も陪席を許された。


この話し合いの最も重要なテーマは皇位継承問題だったと拝察され、この話し合いによってお三方の合意は既に確保されている、と受け止めるのが自然だろう。羽毛田氏はその合意内容を最も正確に知り得る立場の1人だった。


こうした事情を踏まえると、講演での同氏の発言は当然、お三方の合意を踏まえたものと考えなければならない。少なくとも、それに背くような発言はできないだろう。


そうであれば、女性天皇·女系天皇についてのお三方のお考えがどのようなものであるかは、自ずと察することができる。それは、先の共同配信の世論調査の結果が示す国民の圧倒的多数の意向(女性天皇を認める90%、女系天皇を認める84%)とも合致する。


憲法上、天皇は「国民統合の象徴」であられ、その地位は「国民の総意」に支えられるべきものとされる。政府·国会は、皇室ご自身のお考えと圧倒的多数の国民の願いに、誠実に応える義務があるはずだ。


【高森明勅公式サイト】

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