政府が提案し、国会で各党の協議の対象とされる旧宮家系子孫男性の養子縁組プラン。
しかし歴史上、皇籍にない者が養子縁組によって新しく皇籍を取得した事例は、これまで無かったことが知られている。
「皇族と臣家との養子関係の実例を見ると、皇族が臣家の継嗣となったときは養家の姓を称するが、逆に臣家の子女が皇族の養子ないし猶子となった場合は、それに依って皇族に列することはなかった」(宮内庁『皇室制度史料 皇族 一』)
明治の皇室典範以降、皇室の養子縁組自体が明文規定によって禁止されたのは改めて言う迄もない。“婚姻”以外による皇籍取得の可能性を一切排除した意図は、「臣籍に降下したもの及びその子孫は、再び皇族となり、又は皇族の身分を取得することがない原則を明らかにし」
「皇位継承資格の純粋性(君臣の別)を保つため」(法制局「皇室典範案に関する想定問答」)だった。
政府は敢えて曖昧にしているが、養子縁組による皇籍取得だけでなく、養子とその妻との間に生まれた男子には皇位継承資格も認める意図が、透けて見える。
万が一その男子が即位すれば、これまでの皇統は断絶し、旧宮家系という“国民の血筋”に取って替わられる結末を迎える。