衆院議長公邸での定期開催が予定されている、“目先だけ”の皇族数減少抑止策を巡る各党の協議=全体会議。驚いたことに結論が出る迄は議事録を一切公開しない方針だと言う。例によって「静謐な環境を保つ為」とか理由付けるつもりだろう。
しかし、それではまさに“密室”そのもの。国民の心からの訴えを、あたかも“雑音”であるかのように扱うのか。国民を侮辱するにも程がある。
衆参正副議長の呼び掛けで、国民の代表機関であるはずの国会を構成する各党·会派の代表が一堂に会して、「国民統合の象徴」であられ、その地位は「国民の総意に基く」とされる天皇及び
皇室の今後に関わる重大な協議を行うのであれば、そのやり取りを全国民の前に公開しながら議論を進めるのが当然ではないか。
毎週1回のペースなら、次の会議の前には必ず議事録が公開されていなければならないはずだ。
国民が協議の内容を知り、それを理解した上で自らの意思を表明できるようでなければ、「国民の総意」は置き去りにされる。
仄聞するところ、次回に内親王·女王が婚姻後も皇籍にとどまるプラン、その次には旧宮家系子孫男性が養子縁組によって皇籍取得するプランをそれぞれ取り上げて、その次はもう全体のまとめを行う、という具合いに進めるつもりらしい。
この速さなら、私がかねて心配していた通り、今国会中に余裕で決着を迎えることになる。
その場合、決してあってはならないことだが、有識者会議報告書の“丸呑み”で終わるだろう。
今のところ、これに抵抗しようとしているのは、ほとんど孤立無援の立憲民主党だけのように見える。共産党·社民党は、失礼ながら天皇·皇室への関心が薄い(と言うより元々反天皇·反皇室だった)ので、良識的な決着に向けて全力を尽くすことは期待しにくい。
圧倒的多数の国民が「女性天皇」への可能性を切り開くことを求めている事実を明らかにした共同通信や毎日新聞の世論調査の結果が、政府や国会内男系勢力に危機感を与え、逆に決着を急がせている気配もある。
このまま一方的な決着を迎えると、今後は10年·20年単位の長さで“先延ばし”される虞れがある。戦うなら今、この時しかない。
議事録の公開は勿論、テーマの重大さに相応しい慎重·丁寧な熟議と民意の尊重を求めよう。
拙速に決着を急ぐ動きには抗議しよう。
追記
プレジデントオンライン「高森明勅の皇室ウォッチ」は5月24日午前9時公開予定。
その後、Yahoo!でも配信されるはずだ。そこでは「旧宮家養子縁組プラン」がこれまでの皇統を
途絶えさせる危険性について述べる。
【プレジデントオンライン】