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  • 執筆者の写真高森明勅

皇族でも国民でもない「準皇族」は憲法が禁止する貴族


皇族でも国民でもない「準皇族」は憲法が禁止する貴族

時事通信が以下のニュースを報じた(6月19日)。


「国民民主党の玉木雄一郎代表は19日、衆参両院議長と参院議長公邸で面会し、皇位の安定継承に関する意見聴取を受けた。女性皇族が結婚後も皇室に残る場合、夫や子どもに『準皇族』という新たな身分を設ける案を示した」


この記事に「皇位の安定継承」とあるのは、実態として正確には「皇族数の確保」だろう。


それはともかく、憲法には以下の規定がある(第14条)。


「1 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。

3(略)」


国民民主党が提案する“準皇族”という新たな身分は、女性皇族との婚姻関係や親子関係を根拠として、憲法自体が国民平等の別枠と位置付ける「皇族」では“ない”にも拘らず、一般国民とは区別して特別な扱いを受けるのであれば、憲法が名指しで禁止している「貴族」(第2項)に該当するか、又は「社会的身分」による差別(第1項)を持ち込む制度になる。


いずれにしても憲法違反であることを免れないだろう。


恐らく、有識者会議報告書にある内親王·女王の配偶者やお子様を一般国民とするプランはさすがに無茶、と感じたのだろう。そこまでは良かったのだが、憲法違反の方向に迷走してしまってはどうしようもない。


残念。

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